憲法に反する「閣議決定」など認められるわけがない |
(後で知ったが、抗議行動は夜遅くまで続いたのこと。礼拝後に駆けつければ良かったよ。)
この国に住むわたしたちは、平和主義を高く掲げる憲法を大切にしてきた。
それは、これからの世界にとっての道を示す先駆けとしての価値を有するものであり、またこれまでも、きわめて現実的な意味でも、日本が軍事的脅威となったり、(米国のように)軍事関連産業が経済の中心となってしまうような愚に陥ることに対して歯止めとしての働きをしてきた。
「集団的自衛権行使」がこの憲法で認められているなんていうのは、「インチキ」以外の何物でもない。そして、それは日本に住む人々や周辺地域の人たちの生活を「守る」行為ではあるはずがなく、逆に、大変な危険にさらす行為である。
こんなことは、僕が改めて言うようなことではなく、理性をもってごく普通に物事を考える人たちにとって自明なことである。
官邸前・国会前に集まった人たちは、何か特殊なイデオロギーを持っていてその立場を守るためとか、個人的な利益を守るためとか、政党や何かの団体に動員をかけられたとかの理由で、そこへ行ったわけではない。国が間違った方向へ進もうとしているのを黙って見ていられなくて、国民としての責任を果たさなくてはならないという、やむにやまれぬ思いで、安くはない交通費を使い、時間とエネルギーをささげて、集まっているのだ。個人的な野心や目論見、経済的利得のゆえに平和憲法を捨てようとしている、黒塗りの車の後部座席にふんぞりかえって、政治的画策に走り回っている連中とは、発している「声」の質が違うのだ。
総理大臣よ、あなたはどちらの声を聴くべきなのか。
物事を見る目をもった多くの人たちが、私利私欲を超え、真摯に、そして必死で咽喉をからして叫んでいるその声をこそ、あなたは聴かなければならない。もしあなたが本当にここに住む人々のいのちを守ろうとするならば。
ブログにアップするのを忘れていましたが、わたしたちの教会(カンバーランド長老キリスト教会日本中会)でも、安倍首相に対して次のような意見を送りました。「閣議決定」なるものを今日の午後にもやってしまうようですが、そんな憲法違反の方針などいつでも取り消せるものです。今からでも遅くない。正気になって、正しいことをしてください。
内閣総理大臣 安倍晋三殿
2014 年6 月26 日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会
議長 荒瀬牧彦
神学・社会委員会委員長 瀬底正博
集団的自衛権の行使容認に断固反対します
私たちカンバーランド長老キリスト教会日本中会は、集団的自衛権の行使を容認するこ
とに断固として反対します。
日本国憲法の平和主義は、内外にはかりしれない悲惨をもたらした戦争に対する深刻な
反省をもとに堅持されてきました。「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の
行使」を「国際紛争を解決する手段として」放棄し、そのために戦力の不保持と交戦権の
不行使をうたう憲法9 条があったからこそ、戦後70 年近くの間、日本は直接武力によっ
て人を殺すことも殺されることもない歴史を築くことができました。
しかし、集団的自衛権の行使を容認することは、それとは全く逆の方向に進むことです。
他国が武力攻撃を受けたことをもって攻撃した国に日本が反撃することは、武力攻撃した
国に対しては日本の先制攻撃となり、日本は敵国となって反撃を受けることは必至であり、
戦争状態に入ります。安倍首相は「国民の命を守る」ことを強調されますが、根強い対話
による解決を放棄して集団的自衛権を行使することは、日本国民の命だけではなく、世界
の人々の命さえ危険にさらすことになります。
日本が進むべきは、人間の命が戦争によって失われることがないよう、憲法の平和主義、
中でも9 条に基づいて武力によらない平和を追求する道であり、それでこそ世界の先端を
ゆく名誉ある地位を占めることができると考えます。
集団的自衛権の行使容認は、世界に誇るべき日本の平和主義を突き崩します。しかも、
集団的自衛権を認めていない憲法のもとでその行使容認に踏み切ることは「憲法改正」に
ほかならないにもかかわらず、第96 条の憲法改正の手続きを回避し、国民の意思を問う
ことがないばかりか、国会の審議も経ないで、閣議決定によって行使を容認することは許
されることではありません。これは、立憲主義を崩壊させる行為であり、憲法を尊重・擁
護する義務を負う政治家として憲法違反、憲法への反逆であり、民主主義への挑戦と言わ
ざるをえません。
後世に民主的な平和国家を引き継ぐ責任を果たすためにも、集団的自衛権の行使容認、
閣議決定による解釈改憲を行なわないよう強く求めます。