2010年 02月 22日
ちゃんと伝える |
先週はウィルスの攻撃に悩まされ、フラフラしつつ辛うじて乗り切ったという感じだったが、日曜早朝に起きた時は気分すっきり。説教にも集中力をもって臨むことができた。「悲しみ深き人」イエスを語る。
このために、弟子たちの多くが離れ去り、もはやイエスと共に歩まなくなった。そこで、イエスは12人に、「あなたがたも離れて行きたいか」と言われた。
人間の不誠実、つれなさ、情けなさ、愚かさ・・・ それゆえに、主イエスの憂いはどこまでも深いものとなる。主イエスの眼は深い悲しみを湛えている。「わたしが選んだのではないか」。この「選び」がなければ、僕などはとうの昔に、糸の切れた凧のごとくどこかへ消え去っていただろう。
午後は教会員総会。一方的な報告や説明で終わらず、最後に予算をめぐって小会への強い意見が出て、議論が起こったことは、全体にとって有益であったと思う。活動会員数に対しての総会出席率がとても高い(7割弱)会員総会であったことを何より感謝。
夜 体調不良からも立ち直り、総会も終わり、ほっと一息つけたので、M子さんから借りていた2本のDVDを鑑賞。
一本目は、『スラムドック$ミリオネア』
これは昨年4月に飛行機の中で5本立て続けに映画を見た時に・・・さすがに疲れきったが・・・いちばん面白くて、いちばん泣けた作品。ちっぽけな画面で字幕なしで見てあれだけ面白かった映画だから、うちのテレビで床に寝ころがって観たらもっと面白かった。(劇場で見たらさらに段違いだろうな。)
ムンバイのスラムで生きる子どもたちの逞しさ。悪い大人たちの搾取という現実。初恋の人への一途な気持ち。悪の世界に身を染めてしまった兄貴と、捨てられたという恨みを抱き続けながら真面目に働いてきた弟。最後の最後で、弟の未来のために自分が犠牲になる兄貴。インド版みのもんたのいやらしさ。
映画の中のムンバイの街のように、テーマがこってり極彩色。しかもそれらが、ミリオネアのスタジオ、警察署の取り調べ、回想してのこども時代~つい最近のことの三つの時間を巧みに行き来しながら展開されていく。
しかし、映画全体を貫いているスピード感と音楽のビートで、まったく飽きさせずに観る者をひっぱっていく。いやはやすごい映画だ。こんなに良くできた娯楽映画はそうないんじゃないか。各賞を総なめにしたというのもわかる。
堂々たる娯楽映画ではある。しかし本当に良くできた娯楽映画というのは、思いのほか深いものだ。観るもののあらゆる感覚や想像力を全開フルスロットルにし、ものすごくたくさんのことを吸収させてくれる。だから観終わったあとも、いろんなことを考える。一粒で二度おいしい、ではないが、見終わったあともずっと楽しめるのだ。すごいな。
ラストの「インド映画チックな」圧倒的ダンスシーンは賛否両論のようだけど、僕はじんときたな。生きてるって素晴らしいなあ、社会ってのはひどいところだけど、でもまだ人間には希望があるよなあ、というような感慨さえ抱かせてくれる。
一本目がインパクト強すぎだったためか、二本目に見た『ちゃんと伝える』にはちょっとがっかり。
真面目な映画だ。
その真面目さは良い。
内的な隔たりをもっていた父と息子が癌という病を契機に、つながりを取り戻していくという主題は、とても大事な、とても良いもの。
「ちゃんと伝える」というテーマも最高に良い。全国の説教者たちはおそらく皆、このタイトルにはっとさせられるのではないか、と思うほど。
だけど、良いこと大事なことをいくらつなげても、それを概念的に説明するような調子では映画にならないんだよね。映画は、観ている者をうならせ、ひきこみ、楽しませるというものにならないと、「ちゃんと伝える」ことができないんだよね。映画の作り方における力量の違いが、スラムドック$ミリオネアと、この映画であまりにはっきり現れてしまって、2本続けて見たのは失敗(^^ゞ
まずいかんのが、主役の若い男性が大根だということ。台詞の棒読みぶりには辟易。これで感動しろというのはちょっと無理な注文。
脇役は奥田瑛二とか関根恵子とか実力派でかためてるんだけど、主役があれでは。でも、恋人役の伊藤歩という子はすごく良かった。これから大物女優になっていくかも。
映画は細部のリアリティが大事だよね。
僕が監督だったら、あのバス停留所での運転手と関根恵子の場面はああやるのにな、とか、父と子の確執を描くんだったらこういう描写をいれなくては、とか、いろいろ文句をつけたくなってしまう。
大体、この監督はサッカーに興味がないんじゃないか。父親は高校サッカーの鬼コーチだったというのに、それを納得させてくれるような描写がないところが、甚だしく説得力を欠く。
と偉そうに論じてみたが、これらの諸問題は「説教」の課題にも通じるものがあるかも。「ちゃんと伝える」というタイトルは、僕の心をものすごく刺激してくれたってことだね。
何はともあれ、もっとがんばれ日本映画!
そうそう、日本映画といえば、前回M子さんにお借りした2本のうちの1本、『大阪ハムレット』はとってもおもしろかったな。松坂慶子の堂々たる存在感、三人の息子たちのキラキラ輝く個性、岸田一徳のなんともいえぬ味。これはおすすめですよ。
映画の中の次男坊じゃないけど、この映画がきっかけでシェークスピアに親しんじゃうようになるのもグッド。
このために、弟子たちの多くが離れ去り、もはやイエスと共に歩まなくなった。そこで、イエスは12人に、「あなたがたも離れて行きたいか」と言われた。
人間の不誠実、つれなさ、情けなさ、愚かさ・・・ それゆえに、主イエスの憂いはどこまでも深いものとなる。主イエスの眼は深い悲しみを湛えている。「わたしが選んだのではないか」。この「選び」がなければ、僕などはとうの昔に、糸の切れた凧のごとくどこかへ消え去っていただろう。
午後は教会員総会。一方的な報告や説明で終わらず、最後に予算をめぐって小会への強い意見が出て、議論が起こったことは、全体にとって有益であったと思う。活動会員数に対しての総会出席率がとても高い(7割弱)会員総会であったことを何より感謝。
夜 体調不良からも立ち直り、総会も終わり、ほっと一息つけたので、M子さんから借りていた2本のDVDを鑑賞。
一本目は、『スラムドック$ミリオネア』
これは昨年4月に飛行機の中で5本立て続けに映画を見た時に・・・さすがに疲れきったが・・・いちばん面白くて、いちばん泣けた作品。ちっぽけな画面で字幕なしで見てあれだけ面白かった映画だから、うちのテレビで床に寝ころがって観たらもっと面白かった。(劇場で見たらさらに段違いだろうな。)
ムンバイのスラムで生きる子どもたちの逞しさ。悪い大人たちの搾取という現実。初恋の人への一途な気持ち。悪の世界に身を染めてしまった兄貴と、捨てられたという恨みを抱き続けながら真面目に働いてきた弟。最後の最後で、弟の未来のために自分が犠牲になる兄貴。インド版みのもんたのいやらしさ。
映画の中のムンバイの街のように、テーマがこってり極彩色。しかもそれらが、ミリオネアのスタジオ、警察署の取り調べ、回想してのこども時代~つい最近のことの三つの時間を巧みに行き来しながら展開されていく。
しかし、映画全体を貫いているスピード感と音楽のビートで、まったく飽きさせずに観る者をひっぱっていく。いやはやすごい映画だ。こんなに良くできた娯楽映画はそうないんじゃないか。各賞を総なめにしたというのもわかる。
堂々たる娯楽映画ではある。しかし本当に良くできた娯楽映画というのは、思いのほか深いものだ。観るもののあらゆる感覚や想像力を全開フルスロットルにし、ものすごくたくさんのことを吸収させてくれる。だから観終わったあとも、いろんなことを考える。一粒で二度おいしい、ではないが、見終わったあともずっと楽しめるのだ。すごいな。
ラストの「インド映画チックな」圧倒的ダンスシーンは賛否両論のようだけど、僕はじんときたな。生きてるって素晴らしいなあ、社会ってのはひどいところだけど、でもまだ人間には希望があるよなあ、というような感慨さえ抱かせてくれる。
一本目がインパクト強すぎだったためか、二本目に見た『ちゃんと伝える』にはちょっとがっかり。
真面目な映画だ。
その真面目さは良い。
内的な隔たりをもっていた父と息子が癌という病を契機に、つながりを取り戻していくという主題は、とても大事な、とても良いもの。
「ちゃんと伝える」というテーマも最高に良い。全国の説教者たちはおそらく皆、このタイトルにはっとさせられるのではないか、と思うほど。
だけど、良いこと大事なことをいくらつなげても、それを概念的に説明するような調子では映画にならないんだよね。映画は、観ている者をうならせ、ひきこみ、楽しませるというものにならないと、「ちゃんと伝える」ことができないんだよね。映画の作り方における力量の違いが、スラムドック$ミリオネアと、この映画であまりにはっきり現れてしまって、2本続けて見たのは失敗(^^ゞ
まずいかんのが、主役の若い男性が大根だということ。台詞の棒読みぶりには辟易。これで感動しろというのはちょっと無理な注文。
脇役は奥田瑛二とか関根恵子とか実力派でかためてるんだけど、主役があれでは。でも、恋人役の伊藤歩という子はすごく良かった。これから大物女優になっていくかも。
映画は細部のリアリティが大事だよね。
僕が監督だったら、あのバス停留所での運転手と関根恵子の場面はああやるのにな、とか、父と子の確執を描くんだったらこういう描写をいれなくては、とか、いろいろ文句をつけたくなってしまう。
大体、この監督はサッカーに興味がないんじゃないか。父親は高校サッカーの鬼コーチだったというのに、それを納得させてくれるような描写がないところが、甚だしく説得力を欠く。
と偉そうに論じてみたが、これらの諸問題は「説教」の課題にも通じるものがあるかも。「ちゃんと伝える」というタイトルは、僕の心をものすごく刺激してくれたってことだね。
何はともあれ、もっとがんばれ日本映画!
そうそう、日本映画といえば、前回M子さんにお借りした2本のうちの1本、『大阪ハムレット』はとってもおもしろかったな。松坂慶子の堂々たる存在感、三人の息子たちのキラキラ輝く個性、岸田一徳のなんともいえぬ味。これはおすすめですよ。
映画の中の次男坊じゃないけど、この映画がきっかけでシェークスピアに親しんじゃうようになるのもグッド。
by boxy-diary
| 2010-02-22 23:01
| 音楽・映画