「ノロ」ウイルスという名称をめぐって |
先生は詩人で、毎年頂く年賀状には新作の詩がのっていて、僕はいつもそれを読むのを楽しみにしています。詩人として、日本語の使い方に関して大変神経の細やかな先生で、僕は「ことばを大切にすること」をこの先生に教わりました。
その浜崎先生からの御注意ですので、心して聞かねばなりません。
「アラセ先生、あのね、この前ブログに朝山先生のノロウイルス感染のことで、野呂さんと書いていたけれど、野呂という人がそのことで、野呂姓の人たちが辛い思いをしているって訴えているんだよ」。
つまり、僕みたいなことを考える人がいて、それで身近にいる野呂さんをからかっているということなのでしょうか。
今、ネット上でそのことを報じているサイトをみつけました。浜崎先生はA新聞の愛読者なので、A新聞で報道されていたことを僕に話してくれたのですが、僕は長年の中日ファンである浜崎先生に敬意を表して(?)、中日新聞の記事を以下に引用いたします。
出典 つなごう医療 中日メディカルサイト
鹿野道彦農相も感染の疑いで入院した食中毒の「ノロウイルス」。この冬も各地で集団発症が相次いだが、「その名前は使わないで」と全国の野呂さんが改称を訴えている。野呂姓の子どもが学校などでからかいやいじめの対象になったり、その心配があるためだ。一般化してしまったウイルス名を改める妙案はあるのか。 (小栗康之)
「野呂という姓は、ただでさえ、のろまとかノロノロとからかわれやすい。さらにノロウイルスとは…。これ以上、野呂姓の人間に重圧を加えないでというのが正直な気持ち」。「ノロウイルス」改称を訴える会の会長を務める杉井(旧姓・野呂)ゆうきさん(40)=横浜市=はこう訴える。
ノロウイルスの由来は何か。厚生労働省の資料などによれば、1968年、米国中西部のオハイオ州ノーウォーク市の小学校で集団発生した嘔吐(おうと)や下痢の症状が出る急性胃腸炎の病原体として検出。72年、小型球形ウイルスが特定され、地名から「ノーウォーク(Norwalk)ウイルス」「ノーウォーク様(よう)ウイルス」と呼ばれるようになり、国際ウイルス学会は2002年、ウイルスの属名としてノロウイルスを正式に採用した。
「ノロ」とは「ノーウォーク」の一部に発音しやすく「O(オー)」を補ったもの。この結果、全国で約2万人とされる「野呂さん」は嫌な思いをするハメになった。
同会メンバーで関西に住む野呂こうじさんが04年、改称を考え始めたのは子どもの小学校入学がきっかけだった。「学校でからかわれて、嫌な思いをしないか」
幸い深刻な問題はなかったが、「子どもは親に困ったことを言わないもの。しかし、学校で配布されるプリントなどでノロウイルスがあれば、からかいの対象になりやすいだろう」と力説する。同会には「子ども同士がケンカになった」例も報告されているという。
野呂さんらは改称を求めて、厚労省や関係の学会に要望書を提出し続けているが、光明は見えない。厚労省の石丸歩・食中毒対策係長は「かわいそうだとは思う」と同情を寄せつつも「世界保健機関(WHO)などや学会で幅広く使用されており、現状では改称は難しい」と説明。一度、広まった以上、改称すれば混乱しやすいとの考えで、学会も同じ立場だ。
昨年9月、野呂さんは国際ウイルス分類委員会に検討を要望。エリック・カルステンス議長(カナダ)は「野呂姓の方々の気持ちは理解できる」として、「ノーウォークウイルス」を使用すべきだとの見解を示したが、効果は上がっていない。
姓が病名になった例は「川崎病」がある。川崎富作医師が1967年、乳幼児の急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群を報告し命名された。ほかは発見地の仙台市にちなんだ「センダイウイルス」などがある程度だ。
役所が動こうとしない中、改称問題は一部メディアで取り上げられ、認識され始めた。新聞各社が加盟する日本新聞協会や一部のテレビ局で議論が始められている。
同会は今後、野呂姓が多い青森県などに、学校でのプリントなどで使用を控えるよう求めるほか、イタリアやフランスの「ノロ」さんとも連携していくという。悩ましい名称問題。「胃腸炎ウイルス」など、何かいい名称はありそうだが。
最初は、「へえ、そんなことで騒いでいる人がいるんだ」ぐらいの反応しかできなかった自分ですが、感染力の非常に強いウイルスで、恐れられているという現実を考えると、野呂姓の人がいじめの対象になったりした時、その名前をもってからかわれて、ばい菌扱いなどされることになると、当人にとってはものすごく深刻な問題ですね。
早速、ブログのその部分を書き直さなくては。
「ノロウイルス」も、何か別の日本語名をつけるといいんじゃないかな。